幼児教育・保育の無償化は、子育て世帯の教育費を軽減し、家計の負担を和らげる制度です。ただし、仕組みはやや複雑で、対象年齢や所得制限、自分の家庭が該当するかどうか悩む方も少なくありません。
本記事では、幼児教育・保育の無償化の条件とは何か、対象年齢や所得基準、無償化の範囲を解説します。さらに、施設ごとの違いや申請に必要な手続きについても整理しました。
これから保育園を探す予定の方や、利用中の施設で対象か確認したい方は、ぜひ参考にしてください。
【結論】幼児教育・保育の無償化の対象になる条件とは?

幼児教育・保育の無償化制度の基本的な条件について解説します。対象となるかどうかは、主に以下の3つのポイントで決まります。
年齢別の対象条件
幼児教育・保育の無償化の対象年齢は、基本的に3歳から5歳までの子どもです。具体的には、満3歳を迎えたあとの最初の4月1日から、小学校入学前までの3年間が制度の適用期間となります。
一方、0歳から2歳の子どもは住民税非課税世帯に限って無償化の対象となり、それ以外の課税世帯は保育料を自己負担する必要があります。
所得制限と世帯年収の関係
3歳から5歳の子どもについては、保護者の所得制限が設けられていないため、世帯年収に関係なく無償化の対象となります。共働きで収入が多い家庭でも制度を活用できる点が大きな特徴です。
一方、0歳から2歳の場合は所得制限があり、対象となるのは住民税が非課税の世帯に限られます。自分が該当するかどうかは、市町村から届く納税通知書などで確認しておくと安心です。
対象となる施設・ならない施設とは
対象となる施設・ならない施設の一例を紹介します。
- 対象となる主な施設・事業
- 幼稚園、認可保育所、認定こども園
- 認可外保育施設
- 企業主導型保育事業
- 障がい児の発達支援
- 対象とならない施設・事業
- インターナショナルスクールの一部
- ベビーシッター
- 一時預かり
- 学習塾、習い事
無償化の対象となるのは、国の基準を満たした施設や事業に限られます。一方で、ベビーシッターや一時預かり、習い事のように教育・保育の枠組みから外れるサービスは原則として対象外です。
無償化の対象となる費用・ならない費用

「無償化」と聞くと、すべての費用が無料になると誤解されがちですが、実際には対象となる費用とならない費用があります。ここでは、無償化の対象になる費用とならない費用について、具体的に解説します。
無償化の対象となる「利用料」の範囲
無償化の対象となるのは、幼稚園や保育所を利用する際の「利用料」、いわゆる保育料の部分です。国や自治体が施設に給付を行うことで、保護者が支払う利用料が実質的にゼロになる仕組みになっています。
一方で、認可外保育施設を利用する場合は、自治体が定めた上限額まで利用料が補助されます。
対象外で自己負担となる費用の具体例
無償化の対象とならない、自己負担が必要な費用の例は以下のとおりです。
- 給食費(主食費、副食費)
- 通園送迎バスの費用
- 行事にかかる費用(遠足代など)
- 制服や教材、用品などの購入費用
- 延長保育の利用料
- おむつ代などの実費負担分
これらの費用は無償化の対象外となるため、引き続き保護者の負担となります。
条件付きで免除される給食の副食費について
給食費のうち自己負担となる「副食費」は、世帯年収360万円未満相当の世帯と所得に関係なく第3子以降の子どもは免除されます。
月額4,500円を上限として副食費の支払いが免除されるため、家庭の負担をさらに軽減できます。
【施設・サービス別】無償化の条件と上限額

無償化の条件や補助される上限額は、利用する施設やサービスの種類によって細かく異なります。ここでは、主な5つのケースについて、それぞれの条件と上限額を解説します。
- 認可保育所・認定こども園・新制度の幼稚園の場合
- 新制度に移行していない私立幼稚園などの場合
- 幼稚園の「預かり保育」を利用する場合
- 認可外保育施設(ベビーシッター含む)の場合
- 企業主導型保育事業や障がい児通園施設の場合
認可保育所・認定こども園・新制度の幼稚園の場合
認可保育所や認定こども園、子ども・子育て支援新制度に移行している幼稚園を利用する場合、3歳から5歳児クラスの利用料はすべて無償になります。
これらの施設では、保護者が特別な手続きをしなくても自動的に無償化が適用される点が特徴です。なお、0歳から2歳児クラスについては、住民税非課税世帯のみ利用料が無償となります。
新制度に移行していない私立幼稚園などの場合
子ども・子育て支援新制度へ移行していない私立幼稚園などを利用する場合も無償化の対象となります。ただし、補助には上限があり、利用料は月額25,700円までが無償化の範囲です。
したがって、上限を超えた分については差額を自己負担で支払う必要があります。さらに自治体への申請や、一度支払った利用料が後から返金される「償還払い」が必要となるケースもあります。
幼稚園の「預かり保育」を利用する場合
幼稚園で通常保育時間の終了後に実施される「預かり保育」も、条件を満たせば無償化の対象となります。利用するためには、お住まいの市町村から「保育の必要性の認定」を受けることが必要です。
共働き世帯などがこの認定を取得すると、月額11,300円を上限に預かり保育の利用料が無償となり、上限を超えた分については自己負担となります。
認可外保育施設(ベビーシッター含む)の場合
認可外保育施設やベビーシッターを利用する場合も、無償化の補助を受けることができます。ただし、この場合も、市町村から「保育の必要性の認定」を受けることが条件です。
3歳から5歳の子どもは月額37,000円まで、0歳から2歳の住民税非課税世帯の子どもは月額42,000円までが補助の上限となり、利用には事前申請が必要となります。
企業主導型保育事業や障がい児通園施設の場合
企業が従業員向けに設置する企業主導型保育事業も無償化の対象となります。3歳から5歳の子どもは標準的な利用料が無償となり、0歳から2歳の住民税非課税世帯の子どもも同様に無償です。
さらに、就学前の障がいのある子どもが利用する、児童発達支援などのサービスも3歳から5歳まで無償で利用できます。幼稚園や保育所と併用する場合でも、両方の利用料が無償化の対象です。
無償化を受けるための手続きと申請方法

無償化制度を利用するための手続きは、利用する施設によって異なります。ここでは、手続きが不要なケースと必要なケース、そして困ったときの相談先について解説します。
【手続き不要】認可施設を利用する場合
認可保育所や認定こども園、新制度へ移行している幼稚園を利用する場合、保護者が無償化のために特別な申請を行う必要は基本的にありません。
入園手続きを済ませれば、施設と自治体の間で処理が進められ、自動的に利用料が無償化されます。保護者はこれまで通り、給食費などの実費分のみを施設へ支払う形となります。
【申請が必要】認可外施設や預かり保育などを利用する場合
認可外保育施設や幼稚園の預かり保育を利用して無償化の補助を受けるには、お住まいの自治体への申請が必要です。手続きの大まかな流れは次のとおりです。
- お住まいの自治体に「施設等利用給付認定」を申請する
- 就労証明書などの必要書類を提出し、「保育の必要性」を認定してもらう
- 市町村から認定通知書が届く
- 利用している施設から、サービス提供の証明書や領収書を受け取る
- 証明書や領収書を市町村に提出し、補助金の請求をする
- 指定した口座に補助金が振り込まれる
申請のタイミングや必要書類は自治体によって異なるため、必ず事前に確認してください。
手続きで不明点があった場合の相談先
制度は複雑で、手続きについて不明な点が出てくることもあります。そのような場合は一人で抱え込まず、専門の窓口に相談するのがおすすめです。
主な相談先は、お住まいの市町村役所にある子育て支援担当課や保育課となります。
自治体によっては、保育施設の利用に関する相談を受け付ける「保育コンシェルジュ」を配置している場合もあるため、確認してみてください。
ケース別に見る無償化のポイント4つ

無償化制度については、多くの方が抱く共通の疑問があります。ここでは、特に質問が多い4つのケースについて、ポイントを絞って解説します。
0歳から2歳児クラスが無償化になる世帯
0歳から2歳児クラスの保育料が無償化されるのは「住民税非課税世帯」に限られます。これは、保護者(父母)の市町村民税が課税されていない世帯が対象となります。
一般的な課税世帯では、0歳から2歳の子どもを保育所に預ける際の保育料は従来通り所得に応じて負担が必要です。この点が、所得制限のない3歳から5歳の無償化との大きな違いとなります。
3歳の誕生日と無償化開始のタイミング
無償化が始まる時期は、利用する施設の種類によって異なります。
認可保育所や認定こども園では、満3歳を迎えた後の最初の4月1日から無償化が適用されるため、誕生日を過ぎてもすぐに無料になるわけではありません。
一方で、幼稚園の場合は入園可能な年齢に合わせ、満3歳を迎えた時点から無償化の対象となります。
第二子・多子世帯における保育料の扱い
きょうだいがいる世帯の保育料については、無償化制度とは別に従来からの負担軽減措置が引き続き適用されます。
認可保育所などをきょうだいで利用する場合、最も年長の子どもを第1子と数え、第2子の保育料は半額、第3子以降は無料となります。
この仕組みは、無償化の対象外である0歳から2歳児クラスの保育料負担を和らげるうえで重要な制度です。
無償化が原則3歳からである理由と背景
無償化が原則3歳から始まるのは、この制度が「幼児教育の機会保障」を大きな目的としているためです。3歳から5歳の時期は、生涯にわたる人格形成の基盤を育むうえで極めて重要とされています。
そのため、すべての子どもが質の高い幼児教育を受けられるよう、この年齢層を対象に利用料の無償化が実施されました。
幼児教育・保育の無償化に関するよくあるご質問
最後に、幼児教育・保育の無償化に関するよくあるご質問に回答します。
- 4月生まれは無償化の期間が短く損だと聞きましたが本当ですか?
- パートや短時間勤務でも幼稚園の預かり保育は無償化の対象になりますか?
- 「無償化なのに恩恵がない」と感じる人がいるのはなぜですか?
- 引っ越した場合、無償化の認定手続きは再度必要ですか?
- 国の制度とは別に、自治体独自の補助はありますか?
4月生まれは無償化の期間が短く損だと聞きましたが本当ですか?
4月生まれの子どもが無償化の期間で不利になることはありません。
制度上、どの生まれ月であっても小学校入学前の3学年分(年少・年中・年長)の利用料が無償となるよう設計されています。早生まれの子どもも同様に、3年間の無償化がしっかりと保障されています。
パートや短時間勤務でも幼稚園の預かり保育は無償化の対象になりますか?
パート勤務や短時間勤務であっても、幼稚園の預かり保育が無償化の対象となる場合があります。対象になるには、自治体が定める「保育の必要性の認定」の要件を満たす必要があります。
就労時間の基準は自治体ごとに異なるため、詳細はお住まいの市町村へ確認することが大切です。
「無償化なのに恩恵がない」と感じる人がいるのはなぜですか?
「無償化なのに恩恵がない」と感じる理由はいくつか考えられます。まず、給食費や通園バス代といった無償化の対象外となる自己負担が残る点です。
さらに、もともと所得が低く保育料が安かった世帯では、無償化による金銭的なメリットを実感しにくい場合もあるでしょう。
引っ越した場合、無償化の認定手続きは再度必要ですか?
市町村をまたいで引っ越した場合は、新しい居住地で無償化の認定手続きを改めて行う必要があります。
転出前の自治体で受けた認定は、その自治体を離れると効力を失うためです。転入先の市町村窓口で、必ず申請手続きを済ませるようにしましょう。
国の制度とは別に、自治体独自の補助はありますか?
自治体によっては、国の制度に加えて独自の補助制度を設けている場合があります。たとえば、第2子の保育料を全額無料にしたり、国の制度では対象外となる年齢の子どもの保育料を補助したりするケースです。
お住まいの自治体のホームページなどで、こうした独自の支援策があるかどうか確認してみるとよいでしょう。
まとめ
本記事では、幼児教育・保育の無償化の条件を解説しました。制度の基本は、3歳から5歳は所得に関係なく利用料が無償となり、0歳から2歳は住民税非課税世帯のみが対象となる点です。
ただし、給食費などの実費負担は残り、施設の種類や就労状況によって手続きや補助額の上限も異なります。自分の家庭がどのケースに当てはまるかを理解することが、制度を最大限に活用するポイントです。
まずはお子さんの年齢や利用施設を確認し、不明点があればお住まいの市町村窓口へ相談してみましょう。

